弟の夫(田亀源五郎著)はうっかり読んではいけない。感想。
評価:★★★★★5/5
「弟の夫」はゲイ・エロティック・アーティストとして活躍されている、田亀源五郎さんの漫画。
※ゲイ漫画が苦手な方は「田亀源五郎 画像」で検索しないほうがいい。
「弟の夫」をうっかり読まないほうがいいと言うのは、※LGBTについて、とても考えさせられる漫画であり、家族のことやいろいろな物事の在り方みたいなことについて考えてしまい、最後の方は号泣してしまったから。
とてもじゃないが4巻(最終巻)は電車とかで読んではならない。
ちなみに夫の弟にはエロ要素は無い。
※LGBT(エル・ジー・ビィー・ティー/レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字の略)
弟の夫あらすじ
「弟の夫」の主人公である弥一は両親を高校生の時に亡くし、双子の弟、涼二と二人きりになってしまう。
弟の涼二が同性愛者だということは高校生の時に打ち明けられてはいたが、その時から少し弟に距離を置いてしまっていた。
そして、大学卒業後、弟の涼二はカナダへ行き、10年ほど会っていなかったのだが、カナダで事故に会い、亡くなってしまう。
そして、日本でシングルファーザーとして、小学生の一人娘を育てる弥一の元へ同性婚をした弟の夫(義弟)マイクがやってきて、弥一の家にしばらく居候することになる。
というところから「弟の夫」の物語は始まる。
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弟の夫の感想
非常に面白かった。
自分はセクシャルマイノリティの方について特に考えていなかったということが良く分かった。
差別しているつもりもなかったが、肯定するわけでもなく、興味があるわけでもなく、パレードがニュースになっていても、そうなんだー程度にしか思っていなかった。
日本では同性愛にそんなに差別はない(と漫画上で語られている)、ないけれども、隠さなければならないような雰囲気はあるというのも分かる。
腫れ物には触らない的な。
だからこそ、家族だった弟の涼二のカミングアウトに弥一がどう接していいのか分からず、距離をとってしまったのも頷ける。
「弟の夫」の最初の段階では、弥一のゲイや同性愛についての考え方・とらえ方は私とあまり変わらないように思えた。
しかし、弟の夫であるマイクとの交流、同性愛に偏見のない娘(とその友達)のマイクに接する態度、偏見を持っている日本人の態度を通して、そんな弥一の考え方が少しずづ変わっていく。
弥一の考え方が変わっていくさまの見せ方が非常に上手くて、心が揺さぶられた。
最後に弥一が弟の涼二がカナダですごした写真をマイクと見ながら、涼二の結婚式の夜の話を聞くところが、非常に泣ける。
マイクの家族は揃って、マイクの同性婚の事を祝福してくれている。
涼二の唯一の家族である弥一は同性婚を祝福してくれない事を平気だと思っていたが、マイクの家族を見ていたらそれが寂しいということに気が付いた。
涼二がカミングアウトしてから、弥一との距離が出来た事を気にしていたけれど、自分から歩み寄ったことは無かった。
だから、いつか二人で日本へ行って、マイクを家族として、弥一に紹介したい。
でも、涼二に時間がなかったから、僕が弥一と家族になりに来たという、マイクに対して、弥一は「もうとっくになってるよ家族」と答える。
ここから、最後のエピローグみたいになるのだけれど、それも良かった。
ほんと、なんかいろいろと良かった漫画だった。
そして、読み返すたびに涙が止まらない。
そもそも、弟の夫を知ったのがNHKでドラマ化されたからだったのだが、ドラマ版「弟の夫」(佐藤隆太さんと把瑠都さんが出演)はまだ見たことが無いので、機会があったらぜひ見てみたいと思う。
キャスティングも合っている気がする。
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